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#5 催眠・黄昏・三姉妹②

今日は特に前置きはない。さっさと書いて23時には寝たいので早速本題に入ろう。

 

昨日のまとめを簡単にすると、成人向け漫画における「催眠モノ」というジャンルについて考えて見たわけだが、ジャンルの成長過程で、ニッチなジャンルとしての催眠モノとメジャーなジャンルとなったそれでは「催眠」という設定に対する異なる欲求があるのではないか、という主張に至った。

そのような変化がどのように起こったかは想像することしかできないが(知識量の問題で…)前回述べたようにそもそもは、ニッチな趣味の作品内におけるリアリティ確保の為の設定として、つまり手段として利用されていたのだ。しかし人気の高い作品と結びつくことで、そのような趣味を持たない層の目に多く触れることになった結果催眠という設定が喚起する特有の欲求が発見されるようになったのではないか。(完全妄想)

繰り返すが、催眠によって可能になるその後のプレイをこそ重視していたものが、催眠によってプレイが可能になるような状況自体を欲望しだしたのだ。なぜそのような事態に至ったのか。それは一つにオタクの、現実での人間関係への本格的な諦念があるように思われる。「本格的な」としたのは、実際にオタクの定義を「現実での人間関係の構築に失敗している者」として良いほど、オタクは時代を超えて現実に対して怯え続けながら憧れ、コンプレックスを抱いていたのである。そんな中で、例えばゼロ年代のエロゲブームを振り返ってみれば、素朴にそのような現実への欲求を作品内の擬似的な関係によって解消できているという信頼・プライドがあったように思う。付け加えるならば、その際に再現される関係性がいかに歪であるかについても数多の指摘がなされているだろう。そのような物語を現実と遜色ないと思える(リアリティを感じられる)ところに純粋さがあったのだ。

では、エロゲには端的に言ってリアリティが感じられない。かといって現実で周りの人間たちが行なっているような関わり(圧倒的リアリティ)が自分にはできそうにない。世代の更新に伴ってこう考えるオタクが増えたのではないか。ならばどうすれば良いのか。そう、催眠である。つまり、ニッチな趣味を望まなくとも、「普通」の関係ですらも自然に結べないという現実認識に至ったオタクに取って、リアリティを担保する手段として催眠が新たに発見されたのである。

この「現代のオタクにとってのリアリティ」という観点を採用すると「NTRモノ」の流行についても説明ができる。どういうことかというと、催眠モノとNTRモノは「リアリティの担保」という目的を同じにしながら異なったアプローチをしているだけだからである。そしてNTRモノの方がより次元の違う徹底をしているのだ。説明しよう。

まず、催眠モノにおいて残っている問題点について検討してみよう。それは催眠によって達成される関係が実のところ(エロゲにおけるそれと同じく)自然なモノではないという当然の事実にある。これは単純な性欲と「普通」への憧憬、あるいはそこから生まれる逆説的な支配欲求(←このような欲求がオタク固有の物とは言わないが、エロ漫画でこのような問題に真摯に向き合う作品はわずかだろう)を混ぜこぜにしたまま濾過せずに素直に出力した結果の歪さであるといえるだろう。むしろここで、この歪さがゼロ年代の時のようなリアリティへの違和感を生んでいないのは、最早創作が現実の代替とはならないということを認識したからだろう。「普通」であれば催眠なしで至れる状況に催眠を経由してでしかアクセスできないのだという諦念の充満が、このジャンルの隆盛をもたらしたのではないか。催眠モノからは、自分達はもう現実とかは無理だしどうでもいいので、せいぜい楽しくやってますよ…という意志を感じるのだ。

それではNTRモノはどうだろうか。もうめんどくさいのでNTRの説明はしない。長くなりそうなので結論だけ書くと、NTRモノはメタ的に、オタクが作品を消費している構図をそのまま写し取ることで圧倒的なリアリティを確保しているのである。今考えている問題は、ではそれを読むオタクは何に興奮しているのか、「鬱勃起」とはどういう現象であるのかということである。徹底的な弱者としての自分に感情移入して読むことの意味。そして問題なのはここでも対象を所有するというあり方でしか人間関係を捉えられていないことにある。これでは結局ルサンチマンの問題でしか無くなってしまう。多くの作品はこの問題を無視し続けている。

自分がNTRが嫌いだからわからないんだよな。俺はまだ諦めきれていないということだ。

 

本当は最近の催眠モノの傾向として、「実は催眠かかってませんでした」的なストーリーが多く出始め、心まで支配しようなんて傲慢すぎる…と思ったことを次の話に繋げようと考えていた。三日もエロ漫画の話はしてられないので、明日は『黄昏流星群』の話をします。多分。

 

 

今日の2冊

ボールパークでつかまえて!

ヒロインと主人公の関係性を軸に話を進めていくというよりは、そういった多様な物語を生む可能性を持った場としての野球場を愛そう、みたいな雰囲気を感じる。長期連載向きだな。いかんせんキャラ造形が平板なので可能かはわからないが。野球が好きなんだろうな。

 

ヨルとネル

施川ユウキ、好きだ…。Twitterのユーモアが全部こうだったらいいのに…みたいな質感をしてるんだよ。こういう話は無条件でくるようになったな。当然と言えば当然だが。