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#6 催眠・黄昏・三姉妹③

今日は短めにしたいかも。

昨日『黄昏流星群』について話すぞ!と言ってしまったので仕方なく触れることにするが、とりあえずこの仕方なさの説明からすることにしよう。

まず前提として、私は最近アプリで『黄昏流星群』(以下黄昏)を読み始めたばかりである。『黄昏』はオムニバス形式の中年の最後の青春物語である。そして、私はまだ3話分しか読めていない。しかし2話の時点で、これは凄すぎると思ったので記事にしようと思ったのだ。ところが、一昨日昨日と読んだ3話目が更にとんでもなかったので、これは全部を読んでから何かを述べた方がいいのではないだろうかと考え直した訳である。だが、現時点でも昨日までの話とつながるような話をできるなとひらめいたので軽く触れてみよう。

 

以下ネタバレ含む

 

 

 

どういった点で共通しているのかは、かなり大きな話になってしまう。それは、どのような条件で人は物語に没入するのかという話で、一言で言えばリアリティラインの問題であるということができる。昨日触れたエロ同人の読者層にとっては、自分の人柄そのものに異性が恋愛感情を抱くということにリアリティが感じられないために、種種の非現実的な設定によってリアリティを担保しているということを主張した。しかし、『黄昏』のターゲット層である中年男性にとってはその種の迂回は必要なく、若い娘が自分に惚れるという事実をすんなりと受け入れることができるので、それを前提に物語は作られる。

補足するならば、実際にそのような出会いが一般化しているわけではないということは、オジサンたちも作者である弘兼憲史も理解しているだろう。『黄昏』が巧妙なのは、素直に中年の欲望を爆発させるだけでなく、それが簡単には起こりえないということに対して冷静に気を配りながら、種種の仕掛け(語り方、視点人物の配置、絵柄など)によってリアリティを演出していることにある。現代のオタクたちと異なるのは、現実に対して真に絶望しているか否かなのである。(より補足すればオタクはただ絶望しているというよりは、現実の複雑さを単純化した、「肉棒一元主義」とでも呼べるマッチョイズムを信じるに至っているように思う。(それすらもメタ的に見ることはできるし、実際大多数はそうだろう))

あらかた話せた気がする。

では次に催眠モノでしそびれた話を『黄昏』を具体例として見ていこう。私は普段から、「精力」と「性欲」を分離して考えるべきなのではないかと考えている(広義の性欲を狭義のそれと精力にということ)。本能的な肉欲と異性に対しての承認欲求・支配欲などの社会的な欲求を分けるということだ。(特に最近の)エロ漫画(に限らない話だが)は一見前者の欲求を満たすことを目指すように見えるが、その過激な表現に隠れて、後者の欲求を刺激しているのである。そして、『黄昏』は前者の欲求をなるべく排除することによって、一見(主人公男性の)清純さを演出しているが(主人公たちが流れ星に例えられることからも明らかだろう)実のところ、あらゆる手段で後者の欲望を満たそうとしているのである。

一話はどちらかといえば、不倫関係ををいかに純愛として演出できるかの方に力点が置かれている。それは、出会いの運命性や、妻との関係性、娘の結婚にまつわる諸々の関係性(婚約者との間に愛はなく、大学教授と愛を育んでいる)。不倫相手とともに暮らすことを選ぶラスト。などによってなされる。しかし、ラストについてだけでも、主人公は当初自身の出世のために不倫関係を一方的に打ち切るのだ。しかし、妻から切り出された離婚によって出世が不可能になるやいなや、いかにも自分で決断したかの如く不倫相手のもとへ行く。あらすじだけを書くと本当にただ醜悪なのだが、構成や演出によって一見素晴らしい純愛物語に見えるのだからすごい。

※一話目は最後不倫がバレ、妻から離婚を求められた際の心底きょとんとした主人公の顔(ここだけタッチが変わる)がよい。

意外と長くなったので二話目には軽く触れるだけにする。二話目のすごいところは多いのだが(女性視点で進行する、数あるボーイフレンドの中から選ばれるという男としての承認など)やはりラストがすごい。いわば精神的な寝取りの極みとでもいうべきもので、主人公の女性は、中年男性に惚れつつも二人の関係は実らないまま男性は病死する。女性は結局別の同年代の男と結婚するのだが、中年男性は女性のなかで「最初で最後の恋した相手」として永遠化されるのだ!!!これがまあ手紙などのギミックを使って感動的に演出されるのだ。すごすぎる!!!こんな所有の仕方があるなんてぶったまげてしまった。

 

今日は以上!

 

今日の二冊

ワタシってサバサバしてるから1.2.3

なんか連載を経ていくうちに面白くなってくるって情報をTwitterで見かけたので読んでみた。無料で読める範囲が意外と少なかったので(金出しても早く続きが読みたい!!ってなるマンガじゃないだろ)まだ面白くはなっていない。しかし、思ってたよりしっかり漫画らしくてというか、スカッとジャパン度が低くて驚いた。スカッとぽい展開もあるのだが、それで反省してしまうと話が終わってしまうので主人公が全く反省せずにどんどん次に行く感じがギャグマンガっぽくもありながら、変なリアリティもあって読み味は悪くなかった。なんとかして金をかけずに全部読みたい。

 

 

ヴィンランド・サガ』が面白い!